鹿のソナタ
199X年、
世界は核の炎に包まれ―――じゃなくて。
東福岡高校サッカー部キャプテン本山雅志は、
相棒であるMF鹿野王子とともに
全国制覇を成し遂げた。
1年の入部で出会って以来、
全国制覇をなしとげ、ともにJリーガーになるのが、
2人で育んできた大切な夢だった。
しかし、別れは突然訪れた。
「優勝記念にカラオケしようねv」
約束したその日、
鹿野は本山の目の前で事故に合い、
帰らぬ人となってしまったのだ。
大切な相棒を失って、抜け殻のような日々を送る本山。
だが鹿島アントラーズ入団の日は刻一刻と迫ってくる。
そんな中、本山を見かねた小笠原が突然福岡に現れた。
「オガサ。どーしたの?」
「・・・・・・・・」
東北出身の無口な小笠原。
なぐさめに来たのにまだ無言。
しかし、その仏頂面は
どんな言葉よりも雄弁に本山に語りかけた。
(ホントかよ)
『俺と一緒に鹿島の黄金時代を作ろう!
俺にはお前が必要なんだ!本山!』
いよいよ入団会見となるその日
本山は
鹿野と自分のツーショットプリクラに誓った。
これからはオガサが支えてくれるんだ♪
きっと夢を叶えてみせるよ!
鹿野くんv
天国から僕を見守ってね☆
(すげぇあっさり。)
新たな夢を胸に抱き、
入団会見の控え室に入った本山は愕然とした。
そこには、亡き鹿野にうり二つの、中田浩二がいた。
入団して2ヶ月。
本山は気がつくと
中田の姿を目で追っていた。
あのロングフィード。
あの鈍足。
あの作り笑顔のファンサービス。
どこから見ても鹿野くんソックリだ・・・。
ううん。ダメダメ僕ったら。
浩二は鹿野くんじゃないんだから!
それにもう、
浩二には熊谷さんという『W浩二ボランチ』の
相手がいる・・・。
しかし、燃え盛る想いは
とうてい抑え切れるものではなかった。
本山はついに
思いの丈を中田に打ち明けた。
「浩二ーっ!僕と一緒にダブルボランチしよーよ!
これってばもう運命だよ!」
「うわっ!なんだよモト!
第一おまえボランチじゃねーだろ!
この鉄砲玉!」
「ダメって言ったらモトスペ飲ますよ」
「脅迫かよ!!!」
さらなる運命の荒波に飲み込まれる2人。
2人そろって代表に選出されるが、
トルシエジャパンでは中田がDFに、
ジーコジャパンでは本山がFWにコンバートされてしまう。
2人が心から微笑んでダブルボランチできる日は、いつ―――?
『鹿のソナタ』永遠に完。
注:モトヤマスペシャル略して「モトスペ」とは、
絶対に合わない材料を組み合わせて作られる、
本山特製スペシャルドリンクのこと。
鹿島の寮では誰がモトスペの生贄になるか
戦々恐々としてるらしい。
どーでもいいけど途中からオガサ消えたな。
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